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東京家庭裁判所八王子支部 昭和52年(少)421号 決定 1977年3月23日

少年 B・H(昭三六・六・一九生)

主文

少年を中等少年院に送致する。

理由

(一)  非行事実

1  昭和五二年二月一九日付検察官作成の送致書指示(司法警察員作成昭和五二年二月一七日付少年事件送致書)の犯罪事実中(一)の事実(昭和五二年少第四二一号)。

2  昭和五二年二月二四日付東京都○○児童相談所長作成の送致書記載の審判に付すべき事由(ぐ犯事由)(昭和五二年少第四六四号)。

のとおりであるから、いずれもここにこれらを引用する。

(二)  法令の適用

上記1の窃盗の点につき、刑法二三五条、六〇条。

上記2の虞犯の点につき、少年法三条一項三号。

(三)  処遇の理由

本件各保護事件記録、少年調査記録、少年の当審判廷における供述を総合すれば本件各非行事実を認めるに充分であり、また、そこで認められる本件各非行の経緯、態様、罪質、鑑別結果に認められる少年の資質、性格、調査の結果認められる少年の家庭事情、保護者の保護能力の程度等諸般の事情を勘案し、特に少年は暴力行為等処罰ニ関スル法律違反、公務執行妨害、傷害、毒物及び劇物取締法違反各保護事件につき昭和五一年四月九日当裁判所において教護院送致の決定を受け、同月一五日教護院「○○学校」に収容されて矯正教育を受けながら、昭和五一年七月二六日から同月二九日まで、同年一二月七日から同月一四日まで、昭和五二年二月二日から同月八日までの間三回にわたつてそれぞれ些細なことを原因として無断外出および外泊を繰り返して無為徒食の生活をなし、特に第三回目の無断外出および外泊の間に本件窃盗をなしたことが認められることに鑑みれば、少年に対する矯正教育の方法としては教護院における強制的措置だけでは不十分であり、この際少年に対して少年院において強力な矯正教育を施すことが必要であると思われ、さらに少年は昭和五二年三月に中学校を卒業できる見込みであること、少年の社会的経験は豊富であつていわば大人びていること、少年の知能指数は「優」の域にあり潜在的には優れた能力を有していることが認められることから、少年を収容する少年院としては初等少年院よりも各種の職業指導が徹底し、高等学校の通信教育等諸種の教育指導を受けられる可能性がある中等少年院がより適切であると考えられる。したがつて、少年に対しては中等少年院に収容して矯正教育を施すのが、少年のため最も有益であると思料される。

よつて、少年法二四条一項三号、少年審判規則三七条一項、少年院法二条を適用して、主文のとおり決定する。

(裁判官 吉村俊一)

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